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ミニ四駆のホイールについて
ミニ四駆には大きさの違うホイールや、材質や形状、色の違うホイールなど様々なホイールがあります。今回はホイールの各部名称や、首の長いホイールが何なのかを調べてまとめてみました。
※下記記事はRCカーや通常の車で使用されるオフセットの概念に基づいて記述しており、ミニ四駆においてタミヤさんに確認したところ、ホイールの「首の長さ」にあたる部分を「オフセット量」と定めているとのことです。(2016/03/15)
リム幅とリム径
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オレンジの線の長さがリム幅(内円柱の高さ)で、タイヤの内輪の幅に相当します。
青色の線の長さがリム径(内円の直径)でタイヤの内輪の直径に相当します。 |
ホイールにはリム幅とリム径というのがあります。
リム幅というのは、タイヤの内輪の幅に相当する部分で、
リム径というのは、タイヤの内輪の直径に相当します。
② リム径は、タイヤの内輪の直径。
ホイールなのでどちらもタイヤを履かすことを前提に、タイヤの幅や内径よりも若干大きめに設計されています。
首と軸穴
ホイールにはシャフトに装着するための軸穴があります。この軸穴は全ホイール共通で、穴の大きさと長さが決まっています。シャフトにがっちりはめるために、穴の大きさは直径1.85mm、軸穴の長さは7.5mmで一定です。
なのでどのシャーシにも、シャーシや、改造に合った長さのドライブシャフトを選択することによって色々なホイールを装着することが出来ます。
ホイールの軸穴の大きさと長さは一定なのですが、首の部分が短いものや、中位のもの、長いものがあります。
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なぜ軸穴の長さが同じなのに、首の長さが違うのでしょうか。それはオフセット量が違うからです。
オフセット
リム幅、リム径ともにあまり聞き慣れない名称ですが、オフセットも普段は聞き慣れない名称ですよね。
wikipediaでは「ホイールにおいて、リム幅の中心とハブ取り付け面の距離をmmによって表現したもの。」と説明されています。
これは実際の車のホイールの説明ですので、「ハブ取り付け面の距離」とありますが、ミニ四駆ではシャフト取り付け面(シャフトの端が接触する面)と考えて良いと思います。
ミニ四駆においてオフセットは、リム幅の中心とシャフト取り付け面との距離のことを指します。
図で表すと、まずリム幅の中心ですが、下記の画像0mmの位置の線になります。
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この図は赤線の部分の位置を、リム幅の中心にくるようにとっています。
※2008年オフセットの名称が変更され、マイナスはアウトセット、プラスはインセット、オフセット±0はゼロセットで表します。 |
そのリム幅の中心(オレンジ線)の位置がオフセット量0mm、つまり基準のゼロセット(0)になります。
この線より左側(内側)に何mm移動しているかを、アウトセットmm(旧マイナスmm)、右側(外側)に何mm移動しているかを、インセットmm(旧プラスmm)表記する訳です。
ホイールをシャフトにはめたときに、シャフトの端っこがこの中心線にくれば、オフセット量0mm、ゼロセットのホイールということになります。
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シャフトを通す軸穴がリム幅の中心線までになっているホイールの図です。 |
オフセット量の違い
TAMIYAのミニ四駆を見てみますと、マシンのセットによってオフセット量の違うホイールが入っています。詳しく(ミニ四駆改造マニュアル@wiki)はこちら。
例えばこちらのホイール、アバンテMk.Ⅲジャパンカップ2015リミテッドに同梱されているホイールの画像なのですが、
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見た感じ、真ん中二つのホイールと左右二つのホイールの首の長さが違います。
リム幅は同じです。 |
真ん中二つのホイールの軸穴の位置が違っていて内側に首が飛び出ています。
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正面から見ると、真ん中二つのホイール(B2)の、軸穴の位置に当たる中心の部分が左右のもの(B1)と比べて奥まっています。
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B2の首の長いホイールは、オフセットが中心線よりも内側にずれているアウトセットのホイールで、B1のホイールは中心か外側にずれているインセット(ゼロセット含む)ホイールということがわかります。
B1とB2とでは、オフセット量が違う訳ですね。
首の長さと軸穴の長さ
ホイールの軸穴の長さは7.5mmで一定ですので、首の長さの違いはオフセット量で決まってきます。
逆に言えばホイールを製造する際に、シャーシからホイールを少し離すように首を長くする場合に、オフセット量で調節していると言えます。
首の長いホイールはアウトセットホイール、短いものはインセットホイール、標準の長さのものはゼロセットホイールという感じに理解して頂ければ分かりやすいかと思います。
オフセット量の求め方(2016/03/05訂正)
ミニ四駆のホイールのオフセット量の求め方なのですが、定規で測りずらいので簡単に計算する方法をご紹介します。
今回の例はリム幅10mmで、首の長さが3mm、つばの部分が1mmとしています。
ホイールの軸穴の長さが7.5mmで一定ですので、首の長さとつばの厚みを足したものを引いて、つばの端からシャフト取り付け面までの距離を求めます。
オフセット量は、中心線からの距離なのでその数値から基準の5mm(2016/3/05訂正)を引きます。
今回のホイールのオフセット量は計算結果がマイナスなのでアウトセットです。プラスの場合はインセットになります。
シャフトを通した場合シャフトの端が中心線より左側は、アウトセットで右側の場合はインセットです。
マイナスの場合はそのままマイナスをつけて
「オフセット量-1.5mm」と今回の場合は表記します。(2016/03/05追記)
ですのでオフセット量は、アウトセット1.5mm(中心線から左マイナス方向に1.5mm)となります。
② ホイールの軸穴の長さ – ①
③ ② – (リム幅 ÷ 2)
ミニ四駆におけるオフセット量の概念ついて(2016/03/15追記)
タミヤさんに確認した所、ミニ四駆においては、ホイールの首の長さにあたる部分をオフセット量にしているとのことでしたので、追加致しました。
上記オフセット量の求め方はあくまでも、RCカーや通常の車の場合のホイールのオフセット量の概念に基づいた求め方になっています。
オフセットの概念的には、間違いではないのでご参考になればと思います。
※当サイトのオフセットとミニ四駆におけるオフセットの概念に食い違いがありました。大変失礼致しました。尚、ミニ四駆改造マニュアル@wikiのほうでは、正式なオフセット表記になっています。
※ホイールの軸穴の長さが一定ですので、オフセット量の違いはそのまま首の長さに比例します。ミニ四駆では首の長さをオフセット量と定めて見た目にも分かりやすくしています。
※ホイールオフセットの効果については、下記トレッドに関係してきます。また「スクラブ半径」と言われるものにも影響してきます。ミニ四駆においては、ステアリングシステムを搭載した場合に関係してきます。また直接的ではないと思いますが、ガイドローラーとの関係もあるかと思います。
ミニ四駆のトレッド幅について
ミニ四駆のシャーシの軸受け部(左右)の長さ
ミニ四駆のトレッド幅を考える前に、シャーシはどうなっているのかを見てみましょう。
上記画像のホイールが付属されているアバンテMk.ⅢのシャーシはMAシャーシなのですが、軸受け部の左右の幅は前後ともほぼ同じです。
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ノギスで測ると前輪の左右の軸受け部の幅は43.6mm。後輪の左右の軸受け部の幅は43.85mm。
若干前後の違いは出ていますが、その差は0.25mmで、違いと言えるほどのものではありません。 |
差が0.25mmで軸受け部の左右の幅は、前後ともほぼ同じと考えて良いと思います。
シャーシの軸受け部の左右の幅は、全てのシャーシが基本前後同じに(多少の誤差はありますが)設計されています。(※X系シャーシ以外すべて44mm未満、X系シャーシは56mm未満)
各種シャーシの軸受け部の幅とドライブシャフトの長さ表
MAシャーシ | フロント: 43.6mm リヤ: 43.85mm |
60mm |
MSシャーシ | フロント: 43.5mm リヤ: 43.6mm |
60mm |
ARシャーシ | フロント: 43.65mm リヤ: 43.85mm |
60mm |
スーパーⅡシャーシ | フロント: 43.4mm リヤ: 43.5mm |
60mm |
VSシャーシ | フロント: 43.1mm リヤ: 43.3mm |
60mm |
スーパーXシャーシ | フロント: 55.1mm リヤ: 55.2mm |
72mm |
スーパーFMシャーシ | フロント: 43.1mm リヤ: 43.3mm |
60mm |
※他シャーシ随時掲載
※同じシャーシでも若干の個体差がありますが、X系シャーシ、MSシャーシのN04・T04のワイドトレッドパーツ以外は全て44mm未満に設計されています。
ホイールの軸穴の長さは7.5mm(全種類共通)、シャーシとホイールの間の余白は1mm(左右0.5mmずつ)になっています。
トータルすると、ドライブシャフトの長さ60mmに収まるようになっています。
44+(7.5×2)+1=60
X系シャーシは56mm未満に設計されていて、トータルするとドライブシャフトの長さ72mmに収まるようになっています。
56+(7.5×2)+1=72
※基本X系シャーシ以外は60mmシャフトを使用しますが、ホイールを貫通させたりトレッド幅を広げたいなど改造する場合に72mmシャフトを用います。X系シャーシの改造で長いシャフトを用いたい場合は、通称夢パーツのステアリングシステムセットのシャフト(90mm)を用います。
ですのでシャーシの軸受け部の左右の幅が、前後で違うということはなく、シャーシの種類や形状によって左右のタイヤとタイヤの幅が前後で変わるということはないようです。
トレッドって何?
では、トレッドについて見て行きたいと思います。
トレッドというのは、タイヤの地面に接する部分の事をいいます。
トレッド幅というのは、左右のタイヤの地面に接する部分の距離、通常はタイヤの中心と中心の間の距離を言います。
ミニ四駆においては、オフセットトレッドタイヤのように、地面との接地面がタイヤの中心からずれているものがあるので、その場合のトレッド幅は、左右のタイヤの接地面の距離になります。
またバレルタイヤのように、接地面が通常のタイヤよりも細くなっている場合も同様に接地面の距離で測ります。
ホイールによるトレッド幅の違いとタイプ
ホイールの違いからくるトレッド幅の違いとタイプを下の画像に書いてみました。
①のマシンはゼロセットホイールをはかせた画像で、前輪後輪ともトレッド幅が狭くなっています。
②のマシンは後輪だけアウトセットホイールをはかせた画像で、後輪だけトレッド幅が広くなっています。
③のマシンはアウトセットホイールをはかせた画像で、前輪後輪ともトレッド幅が広くなっています。
※上記画像は、ホイールのオフセット量の違いからトレッド幅が変化することを、わかりやすくご紹介しています。各トレッド幅のマシンの特徴について、詳しく書いてくれているブログがありますのでご参考にしてください。
まとめ
アバンテMk.Ⅲジャパンカップ2015リミテッドのマシンは、タイプで言うと②番の後輪だけトレッド幅の広いマシンで、付属のホイールは後輪がアウトセットホイールということになります。
シャーシの左右の軸受け部やシャフトの長さが前後とも同じなので、ホイールのオフセット量がマイナスになった分、ホイール・タイヤ全体が外側に移動しますよね?
トレッド幅はこのようにホイールのオフセット量の違い(言い換えれば、ホイールの首の長さの違い)によっても変えることが出来ます。
トレッド幅の変更方法については、
②ホイールを変える(リム幅の広いホイールを使う)
③オフセットトレッドタイヤを使う
④標準よりも長いシャフトを使い、ホイールとシャーシの間にスペーサーをかませる
などの方法があるかと思います。
※詳しいトレッド幅の変更方法についてはこちらを参照してください。
ホイールを貫通させる改造や、ホイールの首を短くカットして使用する方法など、オフセット量やトレッド幅という観点から見ると、また違った一面が見れて改造がより一層面白くなることでしょう。