《 目次 》
➀サスペンションユニット
1. スプリングダンパー(Spring damper)

サスペンションと言えば、ショックアブソーバーとかオイルダンパーとか聞いたことがあるかと思います。自動車やバイクなど様々な乗り物で使われるものですね。
その本格的なオイルダンパーはないのですが、今回の改造では、バネのみのスプリングダンパーを作成していきます。
四独サスを作るとしたら、やはり一番ワクワクするのはサスペンション周りですからね!
なので、サスペンションユニットの1.スプリングダンパー作成を一番初めにやっていきたいと思います。
今回作成するスプリングダンパーは、下記の2種類に分かれます。
ボールリンクタイプとアルミスペーサータイプです。
スプリングダンパー・タイプ紹介
スプリングダンパーをアームとどの様に接続するかで、タイプを2つに分けています。
Ⅰ:ボールリンクタイプの特徴
香港のMX-Club(Team)で採用しているのがこのボールリンクタイプです。
元々ボールリンクとこのアジャスターは、セットで使用するものなので相性が良く、ボールを支点にして動くのでスプリングダンパーの微調整をすることなく、スムーズにサスペンションが稼働してくれます。
ねじを短く加工した際に出るバリを丁寧にやすり掛けする作業があります。ねじ加工が苦でなければ、こちらのほうがスプリングダンパーの微妙な調整が不要なので、難易度は低めです。
メリット | 調整が不要。不具合が出にくい。 |
デメリット | タイヤのブレが大きくなる。 |
作業工程 | アーム接続時のねじの切削加工あり。 |
アームに取り付ける場合、アジャスターはボールに装着します。
アームとアジャスターとの間にボールリンク特有のゆとりが出来る為、サスペンションに引っかかりの出る不具合が起きないので、スプリングダンパー全体の角度の微調整が不要です。
ボールリンクのねじの長さを短くカットする加工(上記画像:アームよりはみ出た部分)また、※1 アームと軸受け部を接続するねじ(2×8mm)を短くカットする加工が必要となります。
ボールリンク接続の特性上、アジャスターがアームをしっかり固定することが出来ない為、タイヤを回転させた時にアルミスペーサータイプよりもタイヤのブレが大きくなります。
※1 2×8mmねじはスプリングダンパーに必要なセット数には含まれていません。アームと接続する際に必要な補助部品で、ボールリンクタイプのみ、2本加工が必要になります。後ほど作り方のほうで解説していきます。
Ⅱ:アルミスペーサータイプの特徴
アルミスペーサータイプは、四独立サスペンション改造ではよく見かけるタイプです。
アジャスターの中にスペーサーを仕込み、そこにネジを貫通させます。ネジ加工する必要がなく、頑丈にアームを支えます。
キャップスクリューの加工(共通で加工が必要)以外、ねじの加工が不要で、比較的作りやすいタイプかと思います。3mmスペーサーを入れ込む際には、スペーサーが曲がらないように真っすぐ入るように工夫が必要です。
メリット | 作りやすい。0.1g軽い。タイヤのブレが少ない。 |
デメリット | 微調整が必要。 |
作業工程 | アジャスターに穴あけ加工あり。 |
ボールリンクの代わりに、アジャスターのボール受けの穴の中に、3mmスペーサーを仕込みます。
アームとアジャスターの間には、1.5mmのスペーサーをかまして距離を調整します。
サスペンションのバネを効かせた場合に、※2 引っかかりがある場合に、スプリングダンパー全体の角度の、微妙な調整が必要となります。
2×10mmのねじで一直線にアームと接続するので、アームを固定する事が出来、ボールリンク接続よりもタイヤのブレが小さくなります。
調整が必要な分難易度は高めですが、頑丈で、ブレが少なく、ボールリンクよりも重さを0.1g軽く抑える事が出来ます。
※2 サスペンションのバネの引っ掛かりは、キャップスクリューがアルミシャフトストッパーの中で引っかかることで起こります。これはスプリングダンパーを支えている支柱とアーム接続の位置が、上下で若干ずれることで、キャップスクリューが中で斜めになってしまう為です。全体の傾きを微調整することで回避することが出来ます。またグリスを塗ってみるのも効果的です。
以上接続の仕方で2タイプご紹介しましたが、本格的なダンパー(バネの伸び縮み軽減)を作成されている方もいらっしゃいます。藤原エンジニアリングさん、マイキー☆さん、名和ふみさん。
サスマシン作成に慣れてきたら、是非こちらの方々のダンパーを参考に本格的なダンパーを作成しても面白いかと思います。
使用するパーツ一覧(画像:ダンパー1本分)
上記画像の個数×4をして、4本分になります。
- スプリング(共通:1×4本)
- アジャスター(共通:1×4本)
- メタル軸受け(共通:2×4個)
- アルミシャフトストッパー(共通:1×4個)
- 2mmキャップスクリュー30mm(共通:1×4本)
- ボールリンク(ボールリンクタイプ:1×4本)
- アルミスペーサー1.5mm(アルミスペーサータイプ:フロント用1×2個)
- アルミスペーサー3mm(アルミスペーサータイプ:1×4個)
- 小ワッシャー(アルミスペーサータイプ:1×4個)
- 2×10mmねじ(アルミスペーサータイプ:フロント用1×2本)
- 2×15mmねじ(アルミスペーサータイプ:リア用1×2本)
※リア部のアルミスペーサータイプ斜め付けの場合1.5mmスペーサーは使用しません。
※その場合ダンパーとアームの接続用に2×15mmねじを使用します。
※今回作成するアルミスペーサータイプは4本全て縦型で設置します。ボールリンクタイプのみ斜め型になります。⇒詳しくはダンパー・アームステー以降ご説明していきます。
※スプリングに関しては柔らかいものと硬いもの4本ずつセットになっているので、タイプに関わらず、いつでも交換可能です。地上高を上げるため、車軸をデフォルトより下げた場合などに柔らかいスプリングを使用したりします。
タイプ別購入表(スプリングダンパー4本分のセット数)
パーツ名 | 共 | Ⅰ | Ⅱ |
AO-1034 スライドダンパースプリングセット |
1 | ||
2mm キャップスクリューセット (25mm・30mm) |
2 | ||
AO-1002 ミニ四駆メタル軸受けセット |
2 | ||
ボールリンク マスダンパー (スクエア) |
1 | 1 | |
アルミスペーサーセット(12/6.7/6/3/1.5mm) |
0 | 1 | |
アルミシャフトストッパー 4個 |
1 | ||
AO-7001 2mmビスセット |
0 | 1 | |
AO-1038 2mmワッシャー小 (20個) |
1 |
※共通は、両タイプ共に必要なセット数で、後はタイプ別に必要なセット数になっています。
スプリングダンパーの作り方
どちらのタイプが良いかお決まりでしょうか。それでは早速作っていきましょう。まずスプリングダンパーの共通部分からですね。
両タイプ共通部分の作り方(加工する部品①・②)
②キャップスクリュー加工4本(20mmの長さにカット、バリ取り)
③組み立て
①アジャスターを端から4mmの位置でカットして短くしていきます。
(1)マスキングテープを幅2.5mmに切ります。(2)それをつばの下から巻きつければ、アジャスターの端から4mmの位置にマーキングすることができます。
バイスプライヤーでアジャスターを固定して、クラフトノコで切っていきます。バイスプライヤーがない方は、ラジオペンチなどでしっかり固定するようにしましょう。
バイスプライヤーは100円ショップで300円くらいで売っていたものを購入し、使用しました。アジャスターはガラス繊維の入った硬い樹脂で出来ているので、ゆっくりカットしていきます。
切断面が平らでない場合は、鉄ヤスリで平らに整えていきます。バリはデザインナイフで取り、紙やすりは仕上げで使用すると良いと思います。
切断面のヤスリがけが終わったら、キャップスクリューが曲がらないように、ゆっくりと真っ直ぐねじ込み、ネジ穴を切っていきます。
②では次に首下30mmキャップスクリューのネジを20mmの長さになるように切削していきます。ナット2枚とスプリングワッシャー1枚を使ってマーキングをします。
ナットの間にスプリングワッシャーを噛ませることで、ナットが動かないように固定できます。
※3 2×30mmキャップスクリューのネジを、ネジの長さが首下20mmになるように、首下から20mmの位置ぴったりにナットを固定します。
鉄ノコの歯の厚みが厚いものを使う場合を想定して、1mm分多目に余白を取ってしまいましたが、ナット固定なので、歯が厚いのこぎりでも20mmピッタリの位置でOKでした。
バイスに固定して、切削していきます。位置決めのナットがそのままバイスへの固定用治具にもなります。
鉄ノコや、切断砥石をつけたリューターなどでカットします。
※電動工具を使用する場合は、必ず保護メガネを忘れずに付けて作業を行ってください。
ネジのカットが終わりましたら、ヤスリがけをしてバリを取っていきます。タミヤの鉄ヤスリのセットは、非常にコストパフォーマンスが良くオススメの工具の一つです。
バリが削れたら、ナットを外していきます。
六角レンチとボックスレンチでゆっくりはずします。ナットが外れる際に、ネジ山を整えながら外れてきます。
最後に軽く丁寧にバリを取ります。ねじ山の向きに合わせてヤスリを掛けていきます。ネジをクルクルと手で回転させながら、ネジの端をねじ山に沿って優しく削っていきます。
もう一度ナットをはめてみて、引っ掛かりがなければOKです。引っかかるようであればバリが残っていますので、再度鉄ヤスリで優しくバリをとります。
今回は21mmでカットしてしまいましたので、1mm分余白が残ってしまいました。(後ほど1mmカットしました。)
ナット固定の場合は、切りすぎる事がないので、ピッタリの位置に固定して大丈夫です。アジャスター4mm分カットに対しキャップスクリュー20mmが理想的かと思います。
③あとは組み立てるだけです。アルミシャフトストッパーをネジにはめ込み、メタル軸受けの溝のある方をバネ側に向けて、バネを挟むようにはめていきます。
組み立て終わったら、カチッと音がするまでアルミシャフトストッパーを指で下げて、メタル軸受けの溝にスプリングをはめていきます。
ねじの加工さえ済んでしまえば後は難しいことは特に無いと思います。
組み立ては以上になります。
アルミシャフトストッパーとキャップスクリューが接触する部分にグリスを塗れば尚良いでしょう。固めのグリスや、柔らか目のグリスなど色々試してみても面白いかもしれません。
ですがとりあえず、スプリングダンパーをシャーシに固定するまでは塗らないでおきましょう。
アルミシャフトストッパーの横のネジ穴は、後で固定する時に使用しますので、固定してからグリスを塗ったほうが、ここにグリスがつきません。では残り3本も同様に作成していきましょう。
同じように幅2.5mmでカットしたマスキングテープを貼り、準備していきます。端から丁度4mmの位置にマーキングが出来ました。
こんな感じですね。マスキングテープと、デザインナイフは使い勝手が良いので、オススメです。前後2本づつでトータル4本分必要なので、残り3本同様に作成したら完成です。
残りの3本も作っていきます。
平らになるように、また他のアジャスターと長さが合うように、ヤスリをかけていきます。
3本ともカットし終わったら、キャップスクリューでネジ穴を切っておきます。こうすることで、再度ネジを入れた際にネジが真っ直ぐ入りやすくなります。
では次に30mmキャップスクリューをカットしていきますがその前に、25mmは使い辛い理由をご説明します。
※3 上記画像を見て頂くと分かりますが真ん中の25mmネジは、首下のストレートな可動域の部分が5.5mmしか長さがありません。サスペンションを効かせた時に、すぐにねじ山にシャフトストッパーが引っかかってしまうので使いづらい訳です。
左側の30mmネジのほうは12.5mmあり、アルミシャフトストッパー1個分以上の余分な可動域が(12.5mm-6mm=)6.5mmがあるので、まずねじ山部分には引っかかりません。
では残りの材料を揃えて、キャップスクリューをカットしていきましょう。
先ほどと同じように、ナットとスプリングワッシャーで位置決めします。今回は前回の反省を生かし20mmピッタリで固定しました。
前回作成したスプリングダンパーのネジの長さが1mm長いので、一番手前のネジなのですが、1mm分カットできるように、ナットで止めています。
残りの3本も同じ位置でナットを止めます。一番手前のネジを基準に揃えていきました。1本正確に位置決めができればあとは、それに揃えるだけです。
4本ともカットと1回めのヤスリがけが終わりました。
次にナットを外しもう一度ヤスリをかけます。今度は丁寧に念入りにかけていきます。
この表面のバリを平らになるように、削ってから、一番端のねじ山のバリを優しく山にそってヤスリがけをします。
ヤスリがけが終わったら、各パーツを差し込んで行きます。メタル軸受けは溝をスプリングにむけて挟むように差し込みます。
左手でこのように持って、右手でアジャスターをゆっくり真っ直ぐねじ込みます。
あとは、六角レンチを使ってしっかりねじ込んで行きます。
メタル軸受けの溝にスプリングがカチっとハマるのを確認して完了です。
これで共通部分4本分、フロント側リア側2本ずつですね。の完成です。スプリングダンパーの共通部分の作り方は以上です。
ボールリンクタイプ(Ⅰ)の作り方
このボールリンクタイプの利点として、不具合が出にくく、微妙な調整が不要と記載しましたが、もう一点。ボールリンクをはめるだけの構造なので、後でタイプⅡのスペーサータイプに変更することが出来ます。
なので、タイプⅠを試してからタイプⅡを試すのも面白いかと思います。それでは参りましょう。
②アーム側ネジ加工2本(8mmネジを0.8mm分カット、バリ取り)
③組み立て
①アームからはみ出るボールリンクのネジを端から1.8mmカットします。
※フロント側2本のみ加工すればOKです。(リア側は加工せずそのまま使用します。)上記画像はフロント用(左)、リア用(右)一本ずつです。
要領は先程のキャップスクリューのネジ加工と同じです。
このように、ナット2つとスプリングワッシャーを切断する位置に固定します。
バイスに固定して、
ネジをカットして、ヤスリがけしたら完了です。ネジ加工の際には毎回、ナットをはめてみて、バリが取れているかどうか確認します。
若干ネジの先がアームよりはみ出ています。1.7mmでカットしたので、はみ出てしまいました。
このようにネジがアームよりはみ出てしまうと、タイヤの軸受け部に接触して、サスペンションの効きが悪くなってしまいます。(後でヤスリがけし直しです)
ネジ加工は
- パーツにあわせて調度良い長さに加工すること
- しっかりとバリを取る事
の2点に注意すれば良いと思います。
特にこのサスペンション周りのネジ加工は、サスペンションに直接影響したり、バリがネジ穴を壊してしまうことによって、強度が弱くなったしりますので、焦らずゆっくりと行っていきましょう。
これを同じようにもう1本作成して完了です。リア側の2本はネジ加工は必要ありません。
次にこのボールリンクタイプのスプリングダンパーをアームに取り付けた場合、アームを挟んで反対側に、タイヤ・ホイール軸受け部(赤強化パーツ)を取り付ける際に使用する②2×8mmのねじを端から0.8mm短くカットしてください。こちらも2本セットです。
※これが、スペーサータイプのスプリングダンパーの場合、スペーサーに干渉しないので、2×8mmねじの加工は不要になります。
ねじ加工が終わったら取りあえずアーム作成が終わるまで、保管しておきましょう。ねじの頭にマジックで印を付けておくと分かりやすくて便利です。
アルミスペーサータイプ(Ⅱ)の作り方
次はアルミスペーサータイプの作り方を見ていきましょう。こちらのほうはねじの加工はないので、楽に作れるかと思います。
作成の注意点としては、スペーサーをはめ込んでしまうと取れないので、真っすぐはめ込むこと。アジャスターにスペーサーの穴にそって、真っすぐ穴をあけること。タイプⅡからタイプⅠに変更出来ないこと等があります。
②スペーサーの穴にそって2mmのドリルで穴をあける
③組み立て
ボールリンクをはめる穴の中に3mmスペーサーを仕込むだけなので、作業的にはシンプルなのですが、結構仕込みずらいですw
穴の上に3mmスペーサーをおいて、ペンチを使った力技ではめ込んで作成したのですが、失敗して斜めに入ってしまって、取れなくなったことがあるので、3mmより長い6mmスペーサーなど長いスペーサーをはめてみたり、4mm以上のドリル歯で少し口を広げてみたりするといいかも知れません。
また他の方のサスペンション改造でよく見られるのは、このアジャスターの口の空いてないほうまで、4mmで貫通させる方法(ふじんじさんのブログ)もあります。貫通させてしまえば、3mmスペーサーの交換も可能ですので、メンテナンス性もあがります。※この場合使用するねじの長さが変わりますので注意です。
スペーサーを仕込み終わったら、2mmのドリルでスペーサーの穴にそってアジャスターに貫通させます。
後はこのように、2×10mmねじに小ワッシャーをはめ、3mmスペーサーの中を貫通させ、1.5mmスペーサーをはめてフロント部の2本は完了です。
リア部は、アーム、軸受け部(赤強化パーツ)、アジャスター、ロックナットでしめています。
リア部のタイプⅡスプリングダンパーは1.5mmスペーサーは使用しません。またアームへの接続に使用するねじは、15mmのねじを使用します。
番外編:両ねじシャフトを使用したスプリングダンパーの作り方
趣味の空間という別ブログで、スプリングダンパーを両ねじシャフト使って作成していたので、それの修正版をこちらに掲載したいと思います。
この時はまだ改造の初期段階でしたので、アジャスターの長さが違っていたり、間にスペーサーをかませたりwしています。
早速修正していきたいと思います。
メリット | キャップスクリューよりもスムーズに動く |
デメリット | ネジ部が短くなる、締めこみが浅いと強度が落ちる、耐久性に欠ける |
作業工程 | 両ねじシャフトの両端をカット |
まず先ほどのようにアジャスター4mmカットします。次に両ねじシャフトを切っていきます。
両ねじシャフトの短いほうのねじを六角ナットの付け根から切っていきます。
切ったら先ほどのようにやすり掛けをします。
ねじ全体の長さは、首下26.5mmなので、首下20mmになるように6.5mmカットします。
キャップスクリューと同じ長さにする訳です。
ナットとワッシャーで位置決めをして、
リューターで切っていきます。
丁寧にバリを取って、組み立てて完了です。
完成画像です。両ねじシャフトの長さ首下20mm、アジャスター4mmカットは同じなので、キャップスクリューと同じ長さで作ることができました。
両ねじシャフトのメリットは、キャップスクリューよりスムーズに動くことです。キャップスクリューの場合は、黒メッキが引っかかりやすい原因にもなっていますが、両ねじシャフトの場合は、それがありません。
ちょっと分解して見てみましょう。もうお気づきの方もいらっしゃるかと思うのですが、デメリットとしてネジ部の長さが短かいので強度が落ちます。
また、高さ調整でねじを締めすぎたり、緩めたりしすぎると、アジャスターの中のネジ山もつぶれてきます。耐久性に若干欠けるかと思います。
キャップスクリューの場合はネジ部の長さが7.5mmくらいあったと思いますが、両ねじシャフトの場合は、3.5mmくらいです。
ネジ部を長くする、キャップスクリューと同じにする方法としては、
カットする位置を4mm下にずらして、キャップスクリューと同じ7.5mm(ネジ部の長さ)にカットする方法ですが、その分全体の長さが4mm長くなります。
長くなった分、頭のほうをカットすれば良い訳ですが、カットする位置が六角ナットよりも4mm下に移動するため、あとで調整するための六角ナットがなくなってしまいます。
このデメリットを解決する方法としては、ネジ部の長さをあと4mm削って伸ばす方法です。それにはこのような工具を使用します。
これはねじを切る(雄)用の工具で、ダイスと呼ばれるものです。2mmねじ用の0.4mmピッチのネジ山を切ります。キャップスクリューのネジ部の長さ7.5mmと同じにします。(改良型)
優れものの工具でこれがあれば、色々な部品の箇所をねじ化(雄)することが出来ます。※両ねじシャフトの材質が硬い為、工具を痛めないように注意してください。
余談ですが、穴の開いたところにねじを切るのは(雌)タップと言います。
※またタップ用の工具が必要になります。
デメリットを解決する方法で、ダイスを使用するやり方を挙げましたが、この両ねじシャフトを使ったスプリングダンパーが全然ダメということではありません。
ねじ部の根元まできっちり締めて、高さ調整しすぎたりしなければ簡単に強度は落ちることは無いので、使いようによっては一番良いスプリングダンパーになります。
番外編:両ねじシャフトを使用したスプリングダンパーの作り方2(改良型)
ダイスとダイスハンドルを使用して、ねじ部の長さを伸ばす改良型の作り方のご紹介です。
こちらのダイスハンドルとダイスですね。日本のメーカーだけあってお値段も質もしっかりしていましたwダイスハンドルは中国製でしたが、ダイスは日本製です。
それでは早速作ってみます。
前回までで作成した、両ねじシャフトのスプリングダンパーを分解します。
12mmのスペーサーと小ワッシャー2枚で丁度ねじ部が7.5mmのところに位置決め出来ます。当初この状態でねじを切り始めたのですが、どうもバイスで上手く固定出来なくて、
どんどん下に沈み込んでしまいました。なので、方法を変えまして、
このように裏返しの状態で、ねじを限界まで元々あるネジ山にそっていれていきました。
そしてそのままゆっくりボックスドライバーでねじ込んでねじを切りました。
このように切りくずが出てきて、最後切りくずが邪魔しますので、いったん逆にまわして切りくずを除去します。
画像下のほうに切りくずが見えると思いますが、軽くボックスドライバーを逆回転させるだけでとれますので、取れたら、最後の締め込みを行います。
キャップスクリューと全く同じ長さになりました。
なかなか面白くなってまいりました。
組み立てていきます。
いい感じです。
いいですね。
このように首から下の可動域の部分もネジ部の長さも同じです。
アジャスターにはめてみてわかったのですが、ネジ部の締めこんだ時の締まり具合はキャップスクリューのほうが強いです。
ねじの種類 | メリット | デメリット |
キャップスクリュー | 両ねじシャフトより丈夫 | 引っかかりやすい |
両ねじシャフト | 引っかからない、スムーズ | ねじの締まり具合が少し弱い |
キャップスクリューの黒メッキがネジ部を強くしていて、アジャスターによく引っかかる感じです。逆にその黒メッキがあることで、アルミシャフトストッパーの動きを悪くしてしまっている原因にもなっていますが。
アジャスターにネジ山を切る際には、使用するねじで行うと良いでしょう。
高さ調整しても弱くなりづらい強度・耐久性を求める場合はキャップスクリュー、サスペンションの動きを重視する場合は、両ねじシャフトを使用すると良いでしょう。
まとめ(追記2016/08/09)
アーム接続方法で2タイプ、また番外編として両ねじシャフトを使用する場合での作り方をご紹介しました。
各タイプ、ねじの違いによる特徴をわかりやすく表にまとめましたのでご参考にしてください。
ボールリンクタイプ(Ⅰ) | スペーサータイプ(Ⅱ) | 両ねじシャフト | 両ねじシャフト 改良型 |
|
車高調整 | △ キャップスクリューを回すと、アジャスターが外れる |
◎ ストレスなく 調整可能 |
✕ ネジ部が短い為 調整には不向き |
○ ネジ部の長さ 改良後はOK |
微調整 | ○ 微調整がいらない |
△ 微調整が必要 |
◎ キャップスクリューと違い引っかからない |
◎ キャップスクリューと違い引っかからない |
ブレ ・ 強度 |
△ ボールリンク特有の動きがあるためブレやすい |
○ ブレが少ない 頑丈 |
△ キャップスクリューの方が強度は上 |
△ キャップスクリューの方が強度は上 |
重さ | △ スペーサータイプ と比べて0.1g重い |
○ ボールリンクタイプと比べて0.1g軽い |
△ キャップスクリューに比べて0.08g重い |
△ キャップスクリューに比べて0.06g重い |
以上、簡単に表にまとめてみましたが、この結果を踏まえると現時点で一番良さそうなスプリングダンパーの組み合わせは・・・
あのタイプとあのねじの改良型を・・・分かりますよねw?←エラソーですいませんでしたw
☆答えは次回に☆
2016/08/11 追記
A.タイプ1(ボールリンク)と両ねじシャフト(改良型):ネジ部の長さを伸ばせば高さ調整が可能になるものの、キャップスクリューの締め込み強度には負けます。
高さ調整には不向きで、固定向きなのですが、サスペンションの動き重視するのでタイプ1と組み合わせる
A.タイプ2(スペーサー)とキャップスクリュー:ネジ部の締め込みの強さがあるので、何度も高さ調整しても、アジャスターとの連結部の強度が落ちにくいです。
高さ調整可能ですが、強度・耐久性があるので、強度の出るタイプ2と組み合わせ特徴を生かします。
※ご自分のマシンにあった最適な組み合わせの参考になればと思います。